写真や映像では伝わらない本物の力

私は猫が大好きです。三匹の猫と一緒に暮らしています。

すっかり猫の魅力にはまってしまっている私は、猫グッズはもちろん、猫に関連したアートにも興味を持つようになりました。
猫を題材に描く画家は多く、テレビや画集などで楽しんでいましたが、本物の作品を目の前にする機会は多くありませんでした。
NHKの「日曜美術館」という番組が、日本画の大家、竹内栖鳳の「班猫」を特集したときも、猫が登場する日本画の代表作ですからもちろん視聴しました。

もともと好きな絵でしたが、絵にまつわるエピソードなどを聞いているうちに「実物を見たい!」という気持ちが高まってきました。

番組の中で「山種美術館で公開中」と紹介していたので、思い切って見に行くことにしました。

 

 

数日後、数時間かけて山種美術館にたどり着くと、「日曜美術館」の放送から間もない時期だったこともあり、「班猫」の前は一段と人が集まっていました。

背の低い私は、人が流れていくのを待ちながら少しずつその絵に近づいていきま

した。
私の前に立っていたカップルの男性が、日曜美術館で仕入れたであろう情報を女性に話し、女性が感心しながら聞いていました。私はそんな二人をほほえましく思いながら、絵がしっかり見えるポジションが空くのを待っていました。

 

 

いよいよ私の前に「班猫」があらわれたときの感動は忘れられません!
猫の毛の一本一本まで本当に緻密に描かれていました。質感までも伝わってきました。
思わず手で触れたくなるほどでした。

でも、ただリアルに描かれているからすばらしいというわけありません。
描かれた猫のポーズはむしろ不自然、実際の猫がこのポーズをとるのはムリなのです。
ただの写実性ではなく、画家が猫を通して表現した特別な「美」がそこに感じられたからこそ感動したのだと思います。

 

 
私はその絵の前からしばらく動けませんでした。
他にも素晴らしい日本画がたくさん展示されており、それらの作品も鑑賞しましたが、やはり最後にまた「班猫」の前に戻らずにはいられませんでした。思わず涙ぐんでしまうほどの感動がありました。

写真や映像では作品の本当の魅力はわからないのだなぁ…ということをしみじみと感じました。
近づいて細部をよーく見たり、ちょっと離れて見たり、斜めから見たり、様々な視点で見ることができるのも本物が目の前にあるからですし、何といっても本物の持つ存在感は圧倒的でした。

数時間かけて美術館に来た甲斐があったというより、この作品を見るために数時間かけることができた自分の状況をありがたく感じました。
「山種美術館」でも常設展示されている作品ではないので、機会を逃さず来て本当に良かったと思いました。いつかまた会いに行きたい作品です。

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